君を待つ間

2005年2月13日
昨日、用があって人と待ち合わせをしたんですが僕はこの待ち合わせの時間というやつが大好きだったりします。特に昨日は待ち合わせ相手が初対面だったうえに相手が携帯電話を持っていなかったので、約束の時間近くなると来る人来る人の顔を覗き込みながら、まだかなまだかななんてやっていました。

人を待っている間、いろんなことを考えます。最近はみんな携帯電話を持っていて待ち合わせの時間というものの意識が薄くなってきている気がします。遅れそうな時にはすぐ電話して「ごめん、20分くらい遅れそう。いつものとこに向かうから。」なんて謝って、電話を受けた場合も「そっか、じゃあちょっと雑誌でも読んでようかな…」なんてコンビニで時間つぶしたりね。純粋に相手を待つためだけに使う時間というものが少なくなってきている気がしてなりません。

昨日はたまたまそういう連絡手段の無い状況で、僕は他に2人の人と3人で待っていたんだけど、約束の時間近くになると、誰か探している風の人を見つけてはあの人じゃないか?なんて言ったり、電話ではこんな感じの声だったからこんな人なんじゃないかとか、相手の職業から考えてこんな雰囲気の人だと思うとか、とにかく色んなことを言い合いながらその人を待っていました。

ちょっと前まではこんなことは日常茶飯事だった気がするんですが、今ではとんとご無沙汰になってしまいましたね。僕も今では待ち合わせに遅れそうな時は事前に電話するし、なんの連絡も無い時にはそれこそ何事かと心配するようになってしまいました
(また実際何事か起きていることのほうが多い…)。

まだ携帯電話が無かったころ、思い出してみれば待ち合わせをする時「何分以上遅れたら先にいく」とか「遅れた場合はここを第二の待ち合わせ場所にする」とか、あるいは伝言板なんてのもあったりした訳ですが、とにかく集合場所の雑踏の中で「あの人、今日ちゃんと来てくれるかなあ。寝坊してないかなあ。」なんてずっとその人のことを考えていた覚えがあります。そんな時、ふと周りの風景の色が変わったり、急にものの見え方が変わったり、不思議な気持ちになったことがありました。

別に変な話じゃないんだけど、なんか忙しそうにたくさんの人が行きかうなかで一人ストップモーションしたみたいに一点に立ちつくして辺りを見ていると、普段は見えなかったものが見えたり、気がつかなかったことに気がついたりする瞬間があります。今思えば貴重な時間だったと言うか、会えそうで会えない、その人と一緒に過ごす一日が始まってそうで始まっていないその時間には実際に会っているときとはまた違った楽しさがあったような気がします。

もし、今そんな気持ちになるとしたら待ち合わせの時間よりすっげー早めに到着して、相手が時間を守ってきたとしても一人の時間を堪能できるくらい先回りする必要があるかも知れません。あまりにアホなお話しですが僕は過去に数回突発的にそれを行なったことがあります。当然相手は時間を守って来るから連絡はない。僕は一人で君を待っている。時間5分くらい前に到着した君がなにも知らずに「おお、お待たせ。」なんて言って僕の謎の含み笑いと共にその日の時間が流れだしていきます。

…って別にしょっちゅうそんなことしてる訳ではなくて、あくまで過去に数回突発的に実験的にやっただけなので、これから僕と待ち合わせをする方はどうかびびらずやってきてください。おまけに僕はしばしば軽く遅刻することがあり、君を待つどころか恐る恐る謝罪のメールを出しては、返信メールに打ち込まれた感情の読めない「了解」という二文字に怯えながらため息混じりに待ち合わせ場所に登場することがあります。ともあれ君を待つ間、あるいは僕を待ってくれている間。会っていないのにその人との関係が少しずつゆっくりと進んでいく、不思議な時間が今日も過ぎていきます。

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